第9回「はぴかちゃん歯いく大賞」には、24,176句ものたくさんのご応募をいただき、ありがとうございました。4歳のお子様から90歳の方まで、一句一句に「歯」へのさまざまな想いがこめられ、感性豊かな作品の数々でした。

「はぴか大賞」は、夏井いつき先生の選によって優秀賞に選ばれた15句の中から、表彰式当日、会場に集まってくださった約200名の方々の投票により決定いたしました。

(表彰式は平成24年11月11日、いよてつ高島屋にて開催されました。)

入選作品

はぴか大賞

いきなり「キャンプだホイ」で始まる愉快な一句。歯ブラシを持って踊り出しそうなウキウキ感は、まさに「キャンプ」という夏の季語の楽しさ。一度唱えればすぐに覚えられる、口ずさみやすい口誦性が、この句の特徴です。私も「キャンプだホイ」の歌を覚えて、星空の下でキャンプをしてみたいなあ。勿論、キャンプの荷物には歯ブラシを忘れないようにしなくちゃね!

優秀賞

小学生の部

「歯がぬけた」という小さな事件と夏の季語「夕やけ」を撮り合わせた句は他にもあったのですが、「夕やけこえて夜が来る」という表現が秀逸です。ささやかな喪失感が読者の胸に響きます。

「七夕」の短冊に書くお願いは色々ありますが、「むし歯はいらない」と書いたよ、という可愛い一句。やっとむし歯の治療が終わったのかな、それともむし歯のない歯を守る決意の短冊かもしれないね。

新しい歯が生えてきたことを「きょうはまえばのたんじょうび」と表現したのが、なんとも楽しい作品。「さつきばれ」は晴れ渡った五月の空のこと。前歯の誕生日にふさわしい青空です。

「すきっ歯」の口をグッと引き結んで振ったバット。ぐんぐん伸びていく白球。「大ホームラン」を喜ぶ笑顔。季語「雲の峰」は夏の入道雲。歯もボールも入道雲もみんな真っ白な夏です。

中・高校生の部

萩原朔太郎に『月の吠える』という詩集がありますが、「むし歯」が痛くて「月」に向かってウオンウオンと泣いてる百獣の王「ライオン」を想像すると、ちょっと可笑しい一句であります。

「歯を投げた」句は毎年たくさん寄せられますが、中七「~雲に重なる」から追想の世界へ入っていく叙述に工夫があります。高校生の心に、どんな「遠い夏」の記憶が蘇っているのでしょうか。

「ぶつかり合え歯と歯」という勢い、「砕け散れ」という命令形。季語「林檎」が出現したとたん、目の前でその白い果肉が弾け散ったかのような衝撃。ほんとにビックリさせられた作品でした。

「母」が勤めている「歯科医院」の前を通ると、今年も、「金木犀」が佳い香りを放っています。「働く」母への思いは、「金木犀」の香りと共に、作者の心に畳み込まれています。

どんな夏であるかを説明する必要はありません。読み手各々が、自分なりの「とびきりの夏」を想像すればよいのです。「歯をみがく」という具体的な動作が、作者と読者を繋ぐ実感です。

一般の部

「敗戦の日」が季語。あの熱い八月十五日を思う時の「無言」と、「歯をみがくとき」の「無言」。二つの「無言」がしずかに重なっていく叙述が巧い、心にしみじみと刻まれる作品です。

「歯に触れる」ものが「葡萄」であり、その「葡萄」に「若き力」つまり弾力を感じるよという一句。明るい生命感にあふれ、「葡萄」も「歯」も実に生き生きとしたタッチで描かれています。

「秋声」は秋という季節の中に聞こえてくるさまざまな音や声を総称する季語です。「歯磨き」をしながら、鳥の声、風の音に心をよそがせる作者。「聴きにけり」の詠嘆に大人の感慨があります。

「一戦」とは何でしょう。成否が問われた仕事でしょうか、スポーツでしょうか、はたまた夫婦げんか?……様々に想像されますが、「夕虹に歯を磨く」のそこはかない安堵に共感が広がります。

目の前には山のような「夜業」が積み上げられているのに、「歯痛」は一向におさまりそうもない。ため息が聞こえてきそうな一句に、反省と後悔が滲みます。「夜業」は秋の季語であります。

ユニーク賞

小学生の部

「オランウータン」は歯磨きするのかなあ。ひょっとすると、「春の木の枝」を「歯ブラシ」にして毎日磨いているのかもなあ。そんな楽しい空想から生まれた、なんとも可愛い作品です。

中・高校生の部

「歯みがき」をしないまま眠ってしまった「夜」。少し後ろめたい気持ちを「蜃気楼」という季語に託したのでしょうか。「蜃気楼」は春の季語。もやもやとむし歯が生まれそうな気配もします。

一般の部

「春の土」から出土した「弥生人」の骨を調べてみると、なかなか「歯並び」が良いではないか!という発見。「春の土」の明るさ、「弥生人」の長閑な気分がほのぼのと似合っている一句です。

佳作作品

小学生の部

はいしゃでもなかなかったよかたつむり原岡 年志也
このぬけた毎年ほうこくぼんやすみ藤川 優花
かむ力あごをきたえてかぶとむし園部 真子
夏休み歯をくいしばりきもだめし増田 すずな
歯がぬけたお玉じゃくしは足生えた菅 茉梨
戦争で地球も虫歯夏の空宮井 桃歌
遠足のにぎった手の中最後の乳歯和田 麻貴世
体育の日サメの歯どうやってみがこう八塚 陽向
抜けた歯を机に並べる桜の実伊勢 雄成
金風やフッ素洗口一分間宮下 魁伸
にじを見てはみがきしてからお絵かきだ矢野 あかり
はがぬけたへんなかんじできゅうりたべ奥田 悠加
リスのような歯夏の風かんでいる金 安理
メの歯とおなじ二枚歯初嵐鈴村 直樹
妹の歯がぬけている入学式宇髙 充希
歯がぬけた入道雲までぽんとなげた上岡 大せい

中・高校生の部

まだ口に残るミントの香立秋青木 紗貴子
歯ブラシをくわえたままの秋思かな井門 日和
八月の太陽の中行く歯医者毛利 友芽子
夏の朝歯をくいしばり素振り百秋川 優史
歯並びが教えてくれる三兄弟松本 知樹
アメンボや自動歯ブラシ3分間山本 愛
つばめきて家族の歯ブラシ一つ減る都築 侑莉
秋の空歯をくいしばり網をひく大成 響
渾身の八重歯突き刺す青リンゴ福岡 日向子
雷は「歯みがきしろ」と怒ってる和泉 真央
新品の歯ブラシの味夏休み大政 有希
向日葵と並ぶ歯ブラシ一列に藤原 恵
白い歯も美人のうちよ合歓の花門松 明日香
夏休み「まあいいや」からはじまる虫歯定井 弥乃

一般の部

お腹らの子強い歯になれいりこかむ大森 博美
皐月晴れ日食見上ぐ歯は欠けて安野 博之
歯ブラシの残りの夏をしぼり出す竹本 桂子
「イ」と言へば「イ」と歯がこたふ夏鏡菅 伸明
歯型とり帰る道々雷とどろく柳原テル子
白い歯のこぼれる女神輿かな伊藤 巧
親知らず疼いて父の十三回忌井原 浩二
歯が痛い待合室の薔薇の刺岡田 ルミ子
歯をみせてごらんと祖母の更衣渡邊 逸
百歳の歯も百歳の敬老日寺町 弘文
へその緒と乳歯の小箱夏惜しむ小野 更紗
歯が抜けてポップコーンな夏休み高田 里恵
歯ブラシは買い溜めてある震災忌喜多 景治
歯磨きや明日は新米と言うて喜多 加代子

団体賞

愛南町立家串小学校

愛南町立城辺中学校

伊方町立二見小学校

今治市立岡村小学校

伊予市立伊予中学校

伊予市立双海中学校

内子町立石畳小学校

宇和島市立岩松小学校

宇和島市立宇和津小学校

宇和島市立奥南小学校

宇和島市立喜佐方小学校

宇和島市立小池小学校

宇和島市立日振島小学校

宇和島市立和霊小学校

愛媛県立今治北高等学校大三島分校

愛媛県立川之江高等学校

愛媛県立野村高等学校

愛媛県立松山西中等教育学校

愛媛県立三瓶高等学校

愛媛県立南宇和高等学校

大洲市立新谷小学校

西条市立神戸小学校

西条市立小松小学校

西条市立中川小学校

西条市立西条南中学校

西条市立東予東中学校

四国中央市立上分小学校

四国中央市立豊岡小学校

四国中央市立南小学校

四国中央市立三島南中学校

聖カタリナ女子高等学校看護科

西予市立蔵貫小学校

西予市立高川小学校

西予市立土居小学校

砥部町立砥部中学校

砥部町立宮内小学校

新居浜市立南中学校

松野町立松野中学校

松山市立石井小学校

松山市立たちばな小学校

松山市立怒和小学校

松山市立久枝小学校

松山市立久谷中学校

松山市立久米中学校

松山市立中島中学校

松山市立北条南中学校

八幡浜市立長谷小学校

八幡浜市立日土東小学校

八幡浜市立双岩小学校

八幡浜市立松柏中学校

<主催>

愛媛県歯科医師会


<後援>

愛媛県

愛媛県教育委員会

松山市

愛媛新聞社

朝日新聞松山総局

毎日新聞松山支局

読売新聞松山支局

産経新聞松山支局

NHK松山放送局

南海放送

テレビ愛媛

あいテレビ

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