第14回 唯ちゃんは今どきの高校生(歯みがき編)
白く輝く歯って?
文:飯尾秀人、絵:KOUJI
よみがえれ!歯の白さ
<これまでのあらすじ>
羽賀(はが)さん一家は、四国のある街で仲良く暮らす大家族。お父さんの大二郎(だいじろう)さん、お母さんの浮江(うきえ)さん、結婚して妊娠中の長女加奈(かな)さん、高校生の二女唯(ゆい)さん、小学生の長男明夫(あきお)くん、大二郎さんの両親の内蔵(ないぞう)さんと保志子(ほしこ)さんは、みんな歯に問題を抱えていました。歯みがき嫌いな唯ちゃんでしたが、やっと歯みがきの大切さが理解できたようです。
もう夜もふけたころ、眠たくなった唯ちゃんは洗面所に立っていました。もちろん寝る前の歯みがきをするためです。
「本当にもっと白くなるのかなあ?」
唯ちゃんがこんなことを言っているのには実は理由があるのです。診療所で衛生士さんと会話していた時のことです。歯みがき指導が終わって鏡を見ていた時のこと、ふと衛生士さんの歯を見てみるとそこには明らかに自分の歯と違う白く輝く歯が存在していたのです。
「衛生士さんの歯って白くてきれいですよね。生まれつきそういう歯なんですか?」
衛生士さんは笑っていいました。
「実は秘密があるのよ。教えてほしい?」
「ほしいです。お願いします。でも私もそんなきれいな歯になれるんですか?」
「どうかしら? 人それぞれ皮膚)の色に違いがあるようにその効果も千差万別なの。でも唯ちゃんの歯でも今よりだいぶきれいになるわよ」
その時の唯ちゃんは、学校にいる時とは別人のように衛生士さんの話を一語一句聞き逃さぬよう、衛生士さんの顔を食い入るように見つめていたのでした。
歯みがきが終わってもう一度自分の歯を鏡に映しながら唯ちゃんは、これからこの歯がどうなっていくのか想像していました。今日衛生士さんからこんな話を聞いたのです。
まず一番大事なのは自分でしっかり歯を磨くこと。実際歯みがき指導を受ける前に歯垢を赤く染めてみると歯と歯の間や歯の根元はいたるところ赤く染まっていて、充分に歯みがきができていなかったことがよくわかりました。
それからプロフェッショナルケアとかPMTCと呼ばれている日常の歯みがきだけでは取りきれない歯垢や除去できない歯石と着色(ステイン)を、歯科医院の専用の道具で取ってもらうとさらにきれいになること。
この二つを行うとその人が持っている歯の白さがよみがえるそうです。
さらに奥の手として、ホワイトニングといって本来持っている自分の歯の色をより白くする方法もあるそうです。ただしこの方法は、これは人によって効果に違いがあり、少し刺激のある薬を使うので、歯医者さんで充分な診断と指導が必要だということです。
しかしいずれにしても、その衛生士さんはそれらのおかげで、あんなに白く輝く歯を手に入れたのですから、唯ちゃんが心動かされたのも無理はありません。
「きれいになれるなら頑張(がんば)って通(かよ)ってみよう」
そう言(い)いながら眠(ねむ)たそうな顔(かお)をして自分(じぶん)の部屋(へや)に戻(もど)っていきました。
愛媛県歯科医師会監修、毎週木曜掲載
<はぴか情報>
今回は成・壮年期のお口のケアです。週に1回以上は鏡で自分の歯ぐきの状態を観察しましょう。定期的に歯石をとるなど、歯のクリーニングを受けましょう。生活習慣を見直し歯に対する正しい知識や行動を身につけましょう。(資料提供 8020推進財団)