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マウスガードと運動能力について

これまでにマウスガードを装着することにより身体運動能力が向上したとの報告がなされております。
一般的にもマウスガードが直接運動能力を向上させると考えている人も多いと思います。
しかし、このマウスガードと運動能力の関係は科学的に証明されておらず、不明な点が多いのが現状
です。
運動に関するマウスガードの効果は筋力のアップではなく、マウスガードを装着していることでケガの
不安がないといった心理的なものが大きいようです。
(噛み合わせと運動について)
マウスガードと運動能力の関係については、マウスガード装着それ自体よりも、マウスガード装着により、その厚みの分だけ上下の歯が噛み合わせやすくなること、つまり噛み合わせが大きく関与していると思われます。では、噛み合わせそのものと運動能力との関係はどうでしょうか。前田は著書の中で以下のように述べています。
噛み合わせる=上下の歯が軽く接触した状態 → 下顎が固定される。体の動きを一旦止める。
噛みしめる=口を閉じる筋肉が積極的に活動する状態 → 関節が固定され体全体の動きがとまる。
ぐっと噛みしめることは体を固定することになり、ラグビーのスクラム、アメリカンフットボールのブロック、綱引きのパワーホールドなど動きの止まったときに力を発揮するのに効果がある。
噛み合わせることは、一旦体の動きを止め、次の動作に移りやすくする。ボクシングやバスケットの場合のように瞬間的に動作の方向を変えねばならないスポーツに適している。
マラソンや野球のピッチングやゴルフスイングなど連続する動きが必要なスポーツは噛まないほうがいい。なんでもかんでも「噛むと力が出せる」と考えるのは危険で逆効果になる場合があると指摘しています。

マウスガードの厚みは臼歯部で顎をリラックスさせたとき生じる上下の歯の隙間(安静時空隙)よりも薄く作りますので、マウスガードを入れても、通常噛みあいませんが、厚くして噛みあった状態をつくることもできます。
前述のごとく噛み合わせと運動の関係は複雑ですので、運動能力向上を目的としてマウスガード作製を依頼された場合は、スポーツの種類、そのスポーツにおける役割、個人の状態を考慮して作製せねばなりませんが、マウスガードの目的は外傷の予防ですので、運動能力向上を期待して作製すること自体に無理があるかもしれません。
参考文献
1) 前田芳信 : スポーツは良い歯から. 大阪大学出版会. 2005.
2) 前田芳信, 安井利一, 米畑有理 : マウスガード製作マニュアル, クインテッセンス出版, 2003.

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