混合歯列期  〜将来の歯並びに影響〜
 私たちはふだん何げなく歯やあごを使ってものをかんでいますが、そのバランスが乱れてくると肩こりや頭痛など全身のトラブルの原因にもなることをご存知ですか? 実際多くの人がかみ合わせの悪さをかかえていて、一見問題なく見えても理想的なかみ合わせの人はごくわずかです。それではなぜ歯並び、かみ合わせが悪くなるのでしょうか。

3才頃までに乳歯が生えそろったあと、だんだんと歯と歯の間に隙間ができてきます。これを成長空隙といいあごが順調に育っている証拠です。ただ、隙間のできはじめに物がよく挟まりむし歯になりやすいので注意が必要です。6才頃に大切な第一大臼歯(6才臼歯)が一番奥に生えてきます。それと同じ頃に、下の前歯から永久歯に生えかわってきます。続いて8才から11才にかけて残りの犬歯(糸切り歯)から奥3本が順次生えかわってきますが、この時期を乳歯と永久歯が混在する混合歯列期といいます。だいたい小学生時代と一致します。

混合歯列期というのは、むし歯ができやすい時期でもあります。乳歯と生えはじめの永久歯との間に段差が生じて、とても磨きにくい状態になるためです。特に、歯と歯の間に汚れがたまりやすくなり、乳歯だけでなく、生えたばかりの永久歯がもうむし歯、ということにもなりかねません。したがって、この時期には特にていねいなブラッシングが必要です。10才ぐらいまでは保護者の方が仕上げみがきをお願いします。

さらに、むし歯だけではありません。実は、この乳歯期から混合歯列期にかけてが、歯並びをよくする上で大変重要な時期なのです。

そもそも歯並びというのは、あごの大きさと歯の大きさのバランスで決まります。あごの骨はかむという刺激を受けて成長していきますので、乳歯の時から歯ごたえのあるものをよくかんで食べる習慣を身につけ、永久歯が生えるための土台作りをしっかりしていくことが大切です。あごが充分育ち、永久歯の生える場所が確保されれば歯並びはよくなりますし、同時にかみ合わせもよくなります。

乳歯が抜けて、永久歯が生えてくる順序は人それぞれに大体決まっています。ところが乳歯がひどいむし歯になって奥の歯が前によったり、本来の抜ける時期を待たずに早く抜けてしまうとその後に生えてくる永久歯は乳歯というガイド役を失ってしまいます。そうすると永久歯は、あらぬ方向に生えることになり、歯並びが悪くなってしまうのです。また、乳歯がいつまでも抜けずに残っていると、その歯を避けるように永久歯が顔を出して歯並びに悪影響を及ぼすことがあるので、乳歯を抜歯することもあります。手遅れにならないように、小学生のあいだは、お子さんの口の中を普段からよく観察し、おかしいなと思ったら早めに歯科医院を受診することをおすすめします。

以上、乳歯から永久歯に生えかわる時期が、将来の歯並びにとって大変重要だということがお分かりいただけたでしょうか。「どうせ生えかわるのだから」ではなく、「健康に生えかわるように」家庭でのケアと定期検診をうまく組み合わせて、お子さんの歯を守ってあげてください。

平成15年7月21日
愛媛新聞掲載