乳歯のむし歯 〜永久歯の健康損なう〜
 「乳歯はどうせ生え替わるのだから、少しくらいむし歯になっても・・・」と思われている方がまだまだ多いのではないでしょうか。乳歯には乳歯としての大切な役割があり決してないがしろにはできない理由があります。乳歯のむし歯は永久歯にも大変悪い影響を及ぼしますし、お子さんの健康や発育にもよくありません。今回は、その乳歯についてお話しします。

 乳歯は、生後7〜8ヶ月ぐらいに、下の前歯から生えてきます。その後どんどん生えてきて、1歳半ぐらいまでに片側4本、計16本まで生えてきます。生える時期は、多少の前後がありますが、あまり心配しなくて結構です。この頃までは、唾液の量が多く酸の中和能力が高いので、あまりむし歯にならないのが普通です。ただ、哺乳瓶をくわえたまま寝る習慣があると、「哺乳瓶う蝕」と呼ばれる、前歯の激しいむし歯になります。

2歳半前後に一番奥の乳歯が生え、すべての乳歯20本が生えそろいます。この頃から、唾液の減少とおやつの管理ができにくくなり、むし歯になるお子さんが増えてきます。

 乳歯は永久歯に比べて表面のエナメル質が薄くて弱いため、むし歯になりやすく、一度むし歯になると進行が早いといった特徴があります。特に生えたばかりの歯は表面の密度が低く、ごく短期間で虫歯になります。また、かなり大きなむし歯になるまで痛みが出ない場合もあり、痛くないからといって穴のあいたままのむし歯を放置していると、突然痛いといって泣きながら歯科医院を訪れる頃には、ほとんど神経にまで達するようなむし歯になっているということも少なくありません。そうならないように、日頃から気をつけてお子さんの口の中を観察する習慣をつけることが大切です。

 では、乳歯がむし歯になるとどういう悪影響が出るのでしょうか。乳歯のむし歯が神経にまで達すると、バイ菌は乳歯の根の先の方へ進んでいきますが、そこには大事な永久歯の卵があります。ここでバイ菌による炎症が起こると、永久歯が欠けた形になったり、色がついたりして、生えた時からすでにむし歯のような歯になってしまうことがあります。また、乳歯が大きなむし歯になり早い時期に抜けてしまうと歯が動いてしまい、その後に生えてくる永久歯の歯並びが悪くなることもあります。そもそも、むし歯というのはむし歯菌による感染症です。乳歯のときにむし歯の多い子供は、そのままのむし歯菌の多い環境の中に永久歯が生えてくることになるので、永久歯をむし歯にしてしまう可能性が高くなってしまいます。

「三つ子の魂百まで」という諺がありますよね。が、まさにこの時期の規則正しい食生活、しっかりした歯磨きの習慣づけが非常に大切になってくるわけです。それと同時にフッ素やシーラントのような予防措置も効果的です。

乳歯は、むし歯にならなくてもいずれ抜けてしまいますが、永久歯が生えるまでの単なるつなぎではなく、永久歯が健康に育ち、正しい位置に生えるための、大事な役目を背負っているのです。子供の将来にとって丈夫な美しい歯を持つ事は、はかり知れない恩恵をもたらします。ずっと健康な歯でいられるよう、まず乳歯を大切にしましょう。

平成15年7月7日(月)
愛媛新聞生活欄16面掲載