■小学生の部 夏風におされて入るはいしゃさん 玉井心彩
歯みがきはふうりんゆれたそのそばで 藤本百香
つよいはになることめざしにぼしかむ 宮本陽奈
ぬけた歯をなげた夜空にはくちょう座 遠藤智那都
はみがきしぬけかけた日は空みる日 青木咲歌
星空をながめてみがく夏休み 赤松海斗
愛犬をだけば甘がみ夕すずみ 池田康祐
万緑の山見てみがく自分の歯 二宮陽紗乃
歯ブラシを選ぶ日あじさい笑ってる 岡田羚
ぬけたじゅんはがたに記ろく夏の風 高山莉子
ぬけた歯をはこんでくれた夏の風 黒川律
金木せいさくころ生えたいとこの歯 山﨑美羽
なつはじめたいこにあわせてはをみがく 横山ひらり
ぬけた歯はさくらのようにちっていく 楠葉絢斗
夏の夜星より明るい歯がぬけた 井出内啓斗
きょうせいのきぐといっしょにすごす夏 島田育弥
運動会きんちょうしたら歯がぬけた 黒田陽菜
  むし歯ゼロラムネ早飲み一等賞 上田康貴
  なんだこれやえ歯が顔出す夏の海 文田匠海
  弟の前ばぬけたよへびのよう 近藤花夏
  前のはのとなりがいないつばめの子 清家恋
  氷菓サクサクうわさ話は聞こえない 栗田大愛
  しまの子のはにさそわれて広がるなつ 栗田想生
  夏雲と鏡見比べ歯を磨く 栗田暖乃
  はみがきのハッカのにおい夏の空 西田小春
  はみがきをしてあきかぜをすいこむ 兵頭海音
  秋夕焼と同じ色の歯ブラシ 伊勢雅姫
  まだぬけぬ乳歯を世話す夕立風 二宮翔

■中・高生の部 抜けかけの奥歯噛みしめ原爆忌 福原音
白い歯と並んでみている金魚草 藤田莉奈
夏の夜パジャマについたハミガキ粉 小原早稀
親知らず気にして嘗めてゐる氷菓 輪違典子
Tシャツに飛んだ夏色歯みがき粉 重松愛華
夏の朝歯ブラシにあげる努力賞 坂本真麻
「あ」と奥歯「い」と前歯を磨く夏の朝 木多凪沙
歯みがきをしながら覚える英単語 太田晋汰朗
平泳ぎ息つぎ毎に白い歯見えし 向井聖哉
梅雨の朝公式つぶやき歯をみがく 石丸実祈
じいちゃんと歯型をきそうすいかかな 森野里彩
夏の日の唯一の賞状「虫歯0」 国貞宗佑
母親にわたした乳歯夏の夜 窪田愛子
食べるたび「磨け磨け」とセミがなく 久津那彩華
歯みがきをする父と子の背は同じ 二宮政也
  夏休み歯が折れるほど楽器吹く 阿部眞子
  歯磨き粉使いきるラムネ瓶は空 武田歩
  かげろうは青く私の歯は白い 阿部なぎさ
  冬の蝿横目で睨み歯を磨く 岡田真巳
  きしきしと磨く歯に咲くダリアかな 西村香苗
  ハブラシの外向く毛先ならぶそらまめ 滝下真央
  永久歯向日葵のようにはえてこい 中川千星
  真っ白な歯に映り込む昼の虹 相原千夏
  野球帽深く炎天歯のゆがみ 藤本晴香
  夏の海貝がらみたいな歯がぬけた 藏本佳那
もろこしの芯まで噛んで歯がぬけた 河内昴星
まっしろな夏の日記とわたしの歯 岡本明香里
歯並びが好きと言われた夕月夜 村上千夏
歯みがきをする背中から秋高し 村上舞香
僕の歯よ夏雲よりも遠く遠く 檜垣早苗

■一般の部 春風が並んだ歯ブラシ撫でていく 安居能理子
秋晴や予後といふ身の歯をみがき 菅野清志
宿六の好む歯ごたえ大根干す 井上多栄子
白き歯のあえいうえおあお日焼の子 渡部秀美
名は「きらり」子の歯きらりと夏の海 徳井達夫
セロリ食む美しき歯の美しき音 渡部伴子
夏みかん皮を歯でむく昭和の子 奥村昭夫
退院の光る夫の歯夏来る 辻原雅子
歯固めの蛸のぶつ切り竹の春 山本香代子
紫陽花や歯並びきれいな人といる 清水ハナ子
星月夜みがきのこしはありません 真鍋修也
歯みがきや先づ朝顔に語りかけ 片山辰巳
ねんごろに河馬の歯みがく大暑かな 野口寿雄
さとうきび犬歯で剥いで離島の子 菅貴久代
じいちゃんの入歯カポカポ秋彼岸 土屋実
  引き出しの奥から乳歯十三夜 山本明美
  はつ恋は親不知に似て盆帰り 片山一行
  白き歯をお歯黒にして夏芝居 森里美
  くいしばる歯やハンマーは夏空へ 菅伸明
  皓き歯や君の言葉が跳ねる夏 宮下嘉納子
  仕上げみがきのあとの絵本をよむ夜長 西原真樹
  昨年の夏の歯ブラシ祖母の家 岡村理江
  秋高し歯間ブラシのきゅきゅと啼く 能瀬京子
  重さなき猫の乳歯と万緑と 日高香寿美
  秋澄みにけり五合目に口漱ぐ 森田千恵子
  今日こそは歯医者の予約蚯蚓鳴く 鈴村美恵
  流れ星歯を見せ唸る番犬よ 尾崎恭子
  氷水口いっぱいの青春だ 尾崎暁子
  秋の風九九言ふ前歯のがらんどう 井上みゆき
  八月の前歯乾かせつつ追試 櫛部天思

~佳 作~