◇文・飯尾秀人、絵・KOUJI
◇トピックス編 第13章 堀井さんの悪夢/1 忍び寄る現代病
◇呼吸の止まるイビキは注意
◆これまでのあらすじ
 羽賀さん一家は、四国のある街で仲良く暮らす大家族。お父さんの大二郎(だいじろう)さん、お母さんの浮江(うきえ)さん、結婚して初孫の美代ちゃんを生んだばかりの長女加奈(かな)さん、高校生の二女唯(ゆい)さん、小学生の長男明夫(あきお)くん、大二郎さんの両親の内蔵(ないぞう)さんと保志子(ほしこ)さんは、みんな歯に問題を抱えていました。いっぽう加奈さんの夫で雑誌社に勤める板井(いたい)さんの同僚・堀井(ほりい)さんは最近、睡眠不足に悩んでいます。どうやら肥満と関係がありそうです。
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 「フワァ〜、今日も眠いなあ。睡眠不足にならないように、昨日は早く寝たんだけど…」
 朝、食卓の椅子に座った堀井さんの口からは、大きなあくびが飛び出していました。
 「あなた、最近疲れているんじゃないの。よくいびきをかいているもの。それに途中で止まっちゃうこともあって、こっちまで苦しくなりそうよ」
 「えっ、いびきが止まるって!」
 明子さんが言った言葉に驚いた堀井さんは、以前取材した事件のことが頭をよぎりました。それは二年ほど前に起こった列車運転士の居眠り事故のことです。その時、彼は取材の中で聞きなれない病気と遭遇しました。それは、事故を起こす原因となった睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)という病気だったのです。
 「寝ている間に呼吸が止まるということは、睡眠時無呼吸症候群なのかな」
 「でも、いつもじゃないから、あまり心配しないでね」
 明子さんは少しショックを受けた顔をしている堀井さんを気遣いました。
 睡眠時無呼吸症候群はSASとも呼ばれていて、睡眠中に呼吸が止まった状態(無呼吸)が断続的に繰り返される病気です。その結果、酸素不足のため十分に睡眠がとれず、日中に眠気をもよおすだけでなく、放置しておくと生命に危険が及ぶ場合もあるのです。
 「その病気は、突然死の原因にもなるんでしょ。あなた、一度診てもらったら」
 「うん、そうだね。やっぱり最近、少し太ってきたことと関係があるのかなあ?」
 堀井さんは、先週に新調したばかりのズボンに目をやりました。そのズボンは、今までのよりワンサイズ大きくなり、ベルトの穴もこれまでより一個外側を使わざるを得なくなったのです。また、彼は以前の取材の中で、肥満が大きな原因の一つだということを知っていたのです。
 「どうして太ると、その病気になってしまうの?」
 「首の周りや舌に脂肪がたまり、寝ている時に空気の通り道をふさいで、息がしにくくなるんだよ。そうすると、いびきをかくようになり、ひどくなるとこの病気になってしまうのさ」
 体重が増えると、顎の周囲、首周り、喉や舌も太くなり、睡眠中に気道が圧迫されてしまいます。その結果、空気抵抗が大きくなると粘膜や分泌物が振動して、いびきという音になって出てくるのです。
 「肥満になると、血管が太くなって血が流れにくくなるって、昨日テレビの番組でやっていたから、それと同じなのかしらね。じゃあ、痩せていたら、いびきや睡眠時無呼吸症候群の心配はないのかしら」
 「痩せていてもいびきをかく人もいるし、他にも原因は多くあるらしいよ」
 アルコールを飲むと気道内が充血して舌や咽頭の筋肉の緊張がなくなるので、いびきの発生につながります。また筋を弛緩させる作用のある薬や鼻の病気、扁桃腺肥大、顎が小さい場合など、さまざまな原因があるのです。
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 ◇はぴか情報
歯にしみる 親の意見と 氷水(一般、松下晴江女さん)
あさがおを はみがきしながら かぞえたよ(小1、松本美咲さん)
愛媛県歯科医師会(089・933・4371)「はぴかちゃん歯いく大賞」(小学生以下、中高生、一般)第1回入賞作(学年は昨年)をご紹介します。9月末まで第2回募集中。要項は左欄の同会ホームページにあります。