[羽賀さん一家の元気ではぴか]/25
 咀嚼編 第6章 やってきた…
 ◇文・飯尾秀人、絵・KOUJI
 ◇第6章 やってきた婿殿(2)「ひみこの歯がいーぜ」
 ◇よく噛むことが味覚発達の鍵
 ◆これまでのあらすじ
 羽賀(はが)さん一家は、四国のある街で仲良く暮らす大家族。お父さんの大二郎(だいじろう)さん、お母さんの浮江(うきえ)さん、結婚して妊娠中の長女加奈(かな)さん、高校生の二女唯(ゆい)さん、小学生の長男明夫(あきお)くん、大二郎さんの両親の内蔵(ないぞう)さんと保志子(ほしこ)さんは、みんな歯に問題を抱えていました。邪馬台国の女王、卑弥呼(ひみこ)が食事や歯と大きな関係があるようです。いったいどんな関係なのでしょうか。
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 「あった。本当に卑弥呼が出ているわよ」
 食事が終わって一息ついたころ、加奈さんが妊婦さんの講習会でもらったパンフレットを持ってきました。そして、みんなの前で書かれていることを読んであげました。
 「えーと、咀嚼、つまりしっかり噛んで食事をすることは、全身の精神的、肉体的健康に良い影響を与えます。その中には主に八つの効果があり、その頭文字をとって『ひみこのはがいーぜ』と表現されるのです」
 「ひ、み、こ、の、は、が、いー、ぜ。あっ、本当に8文字だ。卑弥呼になるっていうのは、そういう意味だったのかい、明夫」
 大二郎さんは、指を折って数えながらそう尋ねましたが、明夫くんもあまり詳しくは知らなかったのでしょうか、洋さんのようにつくり笑いをして返事をしませんでした。
 「ねえねえ、みんなで正解を当ててみましょうよ」
 クイズ番組が大好きな唯ちゃんがそう言うと、
 「OK、僕そういうの、得意なんだよ。全部当ててみせるからね」
 洋さんも身を乗り出してそう答えました。
 「それじゃあ、私が正解を教えてあげるから考えてみて。ひとーつ」
 加奈さんのその言葉とともに、誰もが『ひ』で始まる体に良いことを推理し始めたのですが、最初に洋さんが例の作り笑いをしながら答えました。
 「ひひ、肥満を防ぐかな。ハハハ」
 「ピンポン。自分のことだからよくわかっているじゃない。よく噛むと脳にある満腹中枢が働いて、私たちは満足感を味わえるの。でも、噛まずに早く食べると、満腹中枢が働く前に食べ過ぎてしまって太ってしまうのよ。つまり、よく噛むことこそダイエットの基本なの」
 『門前の小僧、習わぬ経を読む』ではありませんが、何度も妊婦のための母親教室に通ったおかげでしょうか。加奈さんはいっぱしの講師気取りで解説を始めました。
 「じゃあ、次いくわね。ふたーつ」
 「不らちな悪行ざんまい」
 「お父さん、『み』からはじまるんだよ。まじめにやってよ」
 唯ちゃんに叱られた大二郎さんでしたが、あまりクイズが得意ではないのでしょうか、昔に見た時代劇の場面しか浮かんできませんでした。しかし、その後も浮江さんが「みそ」と言っただけで、誰も正解がわかりませんでした。
 「残念でした。正解は味覚を発達させるの『み』でした。よく噛むと、食べもの本来の味がよくわかるようになるんだって。だから薄味にして、よく噛んで食材そのものの持ち味を味わうことが大切だってよ、お母さん」
 「そうよねえ、これからは味が薄いって言われても、よく噛みなさいって返事するようにするわ」
 二人が笑いながらしゃべっているその陰で、大二郎さんは洋さんに耳打ちしました。
 「洋くん、これはとんだやぶ蛇だったかもしれないぞ」
 それもそのはず、二人はこってりした濃い味付けが好みだったのですから。=愛媛県歯科医師会監修、毎週木曜掲載
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 ◇はぴか情報
 「隠れ肥満」(一見スリムに見えるが、内臓脂肪が蓄積されている状態)は、生活習慣病などの原因にもなります。この内臓脂肪を分解し、脂肪の合成を抑えるのに、よく噛むことが効果的です。(資料提供 8020推進財団)
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