[羽賀さん一家の元気ではぴか]/24
 咀嚼編 第6章 やってきた…
 ◇第6章 やってきた婿殿(1)7時だよ!全員集合
 ◇しっかり噛んで肥満予防
 ◆これまでのあらすじ
 羽賀(はが)さん一家は、四国のある街で仲良く暮らす大家族。お父さんの大二郎(だいじろう)さん、お母さんの浮江(うきえ)さん、結婚して妊娠中の長女加奈(かな)さん、高校生の二女唯(ゆい)さん、小学生の長男明夫(あきお)くん、大二郎さんの両親の内蔵(ないぞう)さんと保志子(ほしこ)さんは、みんな歯に問題を抱えていました。加奈さんの夫、板井洋(いたいひろし)さんが羽賀さんの家に来ました。今日は一家そろっての楽しい夕食です。
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 「いらっしゃい、久しぶりね。お仕事どう、やっぱり忙しいの」
 さっきまで加奈さんに厳しく指図していた浮江さんの声が、加奈さんのご主人、つまり浮江さんにとって娘婿となる板井洋さんの顔を見るなり、猫なで声に変化しました。洋さんが羽賀さんの家にやってきたのは、加奈さんの出産予定日を2週間後に控えた土曜日のことです。
 「ねえ洋さん、最近少し太ったんじゃない」
 「ハハハ、わかりますか。仕事がら生活が不規則ですからね」
 浮江さんにそう言われた洋さんは、笑いながら答えました。実は、彼には自分に都合の悪いことがあると、なぜか笑ってごまかす癖があるのです。洋さんが言うには、雑誌の編集の仕事をしているので、締め切り間際になると午前様も珍しくなく、生活が不規則になってしまうとのことです。しかし、本当にそれが原因なのでしょうか。
 時計の針が午後7時を指し示すころには、夕食の準備もできて、羽賀さん一家はそれぞれの席につきました。今日は珍しく全員集合の食事となりました。
 「いっただっきまーす」
 「うわー、今日の夕食は豪華だね。これだったらお兄さん毎日やってきてよ」
 明夫くんがうれしそうに叫びました。それもそのはず、洋さんが久しぶりにやって来るので、食卓には浮江さんが腕によりをかけて作った料理が所狭しと並んでいたのですから。
 「えっ、もう食べ終わったの」
 はしを茶わんの上に置き、ごちそうさまをしようとしている洋さんを見て、浮江さんは驚きの表情に変わってしまいました。それもそのはず、彼以外はまだ食事の半分も平らげていなかったのですから。
 「編集の仕事をしていると食べる時間も惜しくなって、自然にはやくなってしまったのです。それに昔から、早食いは芸のうちなんて言われてますからね、ハハハ」
 例の作り笑いをしながらしゃべる洋さんに、突然明夫くんが話しかけました。
 「だめだよ、お兄ちゃん。それじゃあ、卑弥呼になれないよ」
 明夫くんが急にそんなことを言ったので、家族みんなの目が点になってしまいました。
 「ねえ明夫、卑弥呼になれないって、どういう意味なの」
 唯ちゃんがそうたずねると、明夫くんは、
 「社会科の教科書に出てくる卑弥呼だよ。食事をする時は卑弥呼を忘れちゃあいけないんだよ。だって、この前学校でハミガキを教えてくれたお姉さんが言っていたもん」
 「卑弥呼って、古代邪馬台国の女王のことかい? でも、それが食事とどんな関係があるんだい」
 大二郎さんが明夫くんにそう尋ねた時、加奈さんが何か思い出したようです。
 「あっ、そういえば、この前の妊婦さんの講習会で咀嚼の効用という話をしていた時、卑弥呼が出てきていたわ。その時パンフレットをもらったから、食事が終わったらちょっと持ってきてみるわね。確か私の部屋にあったと思うの」=愛媛県歯科医師会監修、毎週木曜掲載
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 ◇はぴか情報
 口やその周辺から脳に伝わる感覚は全体の3分の1と言われています。つまり、それらの情報が脳に入力され、身体活動の重要な役割を果たしています。よく噛んで味わうことは、健康な生活を続けるために重要です。(資料提供・8020推進財団)
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