[羽賀さん一家の元気ではぴか]/22
 予防編 第5章 帰ってきた…
 ◇文・飯尾 秀人、絵・KOUJI
 ◇第5章 帰ってきた長女(3)大波小波
 ◇お口のPHを下げないで
 ◆これまでのあらすじ
 羽賀さん一家は、四国のある街で仲良く暮らす大家族。お父さんの大二郎さん、お母さんの浮江さん、結婚して妊娠中の長女加奈(かな)さん、高校生の二女唯(ゆい)さん、小学生の長男明夫(あきお)くん、大二郎さんの両親の内蔵(ないぞう)さんと保志子(ほしこ)さんは、みんな歯に問題を抱えていました。歯の話に最初はあまり興味がない様子だった加奈さん。次第に先生の話に耳を傾け始めました。
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 「妊娠中は生活のリズムが不規則にならないよう自己管理をすることが大切なのですね。それじゃあ、ムシ歯や歯肉炎を防ぐには具体的にどんなことに気をつければいいのですか?」
 最初とは別人のような目をした加奈さんが質問しました。
 「妊娠中の歯や歯肉のトラブルを防ぐには、ブラッシングが一番です。その他にも、バランスのよい食事と適度な運動、フッ素を利用して歯の質を強くすること、キシリトールを利用してムシ歯菌を減らし、なおかつ、だ液を多く出して口の中が中性に戻りやすくすることが大切です。これらの説明は、また次回の教室で詳しくお話しましょう」
 「それじゃあまず、一日の中でムシ歯がどのようにできるのか説明しましょう。この図を見てください」
 そう言いながら先生は、1枚のパネルを箱から取り出しました。そこには左から右に線が波のように走っている二つの図が描かれていたのです。上の図は大きく緩やかな波が、下の図は大小不規則な波がありました。
 「これは一日の中でお口のpH(酸性度)、つまりどれくらいムシ歯になりやすいかを調べたものです。この線が下に行けば行くほどpHが下がって酸性度が強くなるので、ムシ歯になりやすくなってしまうのです。ほら、食事をした後どうなっていますか?」
 突然そう質問されて、加奈さんは学生のころのように緊張しながら答えました。
 「あっ、だんだん下がっています」
 「そうです。食事をするとムシ歯菌もいっしょに食事をして酸を作りますから、口の中が酸性になるのです」
 「へぇ、食事をするとムシ歯菌にも餌をやっていることになるのですね」
 眼鏡の人は真顔でそうしゃべりましたが、加奈さんにはその人が「へぇボタン」を押している光景が浮かんできて、噴き出しそうになるのをこらえるのに精一杯でした。しかし、加奈さんは子供のころからいろいろなことに興味を持ちたがる性格でしたので、その線が食後5分もすると緩やかに上がってきていることに疑問を感じたのです。
 「でもその後、時間とともに線が上がってきているのは、どうしてなのですか?」
 そう質問された先生は目を輝かせながら、またうれしそうに答えました。
 「いいところに気がつきましたね。これはだ液の緩衝作用といって、酸性になってムシ歯ができやすくなった口の中を中性に戻してくれる働きをしているから上がってきているのです。誰でも毎日きちんと食事をしなければならないから、食後の口の中は酸性になってしまいます。しかし、このだ液の働きのおかげで私たちはムシ歯にならないでいられるのです」
 こうなると加奈さんの疑問の虫はどんどん暴れだし、この後先生は質問攻めに遭うことになるのでした。=愛媛県歯科医師会監修、毎週木曜掲載
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 ◇はぴか情報
 天然の甘味料で、ムシ歯の原因となる酸を作らないことで知られる「キシリトール」。キシリトール入りのガムは、含有量の多いものがその効果を発揮します。ガムを噛(か)むことには、だ液の分泌促進や歯垢(こう)を取り除くなどの効果があります。 (資料提供 8020推進財団)
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