◇文・飯尾秀人、絵・KOUJI
 ◇第3章 唯ちゃんは今どきの高校生(1)歯肉炎てかっこ悪い?
 ◇歯みがきで歯肉炎対策
 ◆これまでのあらすじ
 羽賀さん一家は、四国のある街で仲良く暮らす大家族。お父さんの大二郎(だいじろう)さん、お母さんの浮江(うきえ)さん、結婚して妊娠中の長女加奈(かな)さん、高校生の二女唯(ゆい)さん、小学生(の長男明夫(あきお)くん、大二郎(だいじろう)さんの両親の内蔵(ないぞう)さんと保志子(ほしこ)さんは、みんな歯に問題を抱えていました。唯ちゃんは、歯みがきもせず、ボーイフレンドの太朗(たろう)くんとデートに出かけたようです。
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 「ちょっと遅れるけど待っててね」
 携帯電話でしゃべりながら、唯ちゃんは小走りで玄関のほうに駆けて行きました。今日は日曜日。ボーイフレンドとデートの約束をしていたのです。
 「あっ、おねえちゃん。また歯みがきしてないよ」
 洗面所にいた明夫くんが叫びました。
 「だって、ほら。おねえちゃんの歯ブラシ全然ぬれてないもん」
 唯ちゃんの歯ブラシを見せながら明夫くんがそう言うと、浮江さんはため息まじりにつぶやきました。
 「またなの。この前も夜寝る前に歯みがきしなさいって言ったところなのに」
 唯ちゃんも以前は食後と寝る前の歯みがきを欠かすことはありませんでした。しかし高校受験をひかえ夜遅くまで勉強するようになったころから、少しずつ歯みがきをさぼるようになっていたのです。
 映画を見終わった時のことです。すこし浮かない顔をしている太朗くんに唯ちゃんは尋ねました。
 「どうしたの、今日の映画あまり面白くなかったの?」
 「そうじゃないんだけど、実はこの前から気になっている事があるんだよ。唯ちゃんも僕のお父さんが歯医者をしているって知っているよね。そのお父さんに中学生の時『歯医者の息子のくせに歯肉炎になるなんて恥ずかしくて人に言えないぞ』って怒られたことがあるんだよ」
 「歯肉炎?それって痛いの?」
 「時々歯みがきしていると血が出ることがあったけど別に痛くはなかったよ。だけどなかなか治らないのでお父さんに診てもらったら、そう言われちゃったんだよ」
 唯ちゃんはそういえば自分にも思い当たるふしがあるかなと思いながら聞いていました。
 「それでどうしたの?」
 「お父さんに歯みがき指導をしてもらったんだよ。普段は衛生士さんが患者さんに指導しているんだけどね」
 「で、どんな事をするの?」
 「小学生の時に歯垢を赤く染めて、歯みがき指導をしてもらったことがあるだろ。あれと同じことをするんだけど、奥の大人の歯も生えていたから鏡を見ながら詳しく教えてもらったよ。実をいうと唯ちゃんの歯ぐきはその時の僕の歯ぐきと同じように見えるんだよ」
 「じゃあ、私も歯肉炎になってるっていうの。失礼しちゃう」
 「ごめんね、でもそのままにしてるとムシ歯も出来やすいし、それに大人になった時に歯周病といってひどくなると歯がグラグラして抜けちゃう病気に進んで行くって、お父さんが言ってたよ」
 「じゃあ、入れ歯?かっこわるい」
 笑ってしゃべっていた唯ちゃんですが内心少し穏やかではなかったようです。=愛媛県歯科医師会監修、毎週木曜掲載
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 ◇はぴか情報
 歯垢がたまりやすいのは、(1)歯と歯の間(2)歯と歯ぐきの境目(3)奥歯のかみ合わせ(4)でこぼこしているところ(5)背の低い歯――です。デンタルフロスや歯間ブラシは歯と歯の間に、隠れている歯垢を除去するのに効果的です。(資料提供 8020推進財団)
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