:[羽賀さん一家の元気ではぴか]/1 歯周病編 
 ◇文・飯尾 秀人、絵・KOUJI

 ◇第1章 羽賀さんのゆううつ(1)朝目覚めたら
 「あいたたた」 
 朝目覚めるなり羽賀大二郎(はがだいじろう)さんは、顔を会わせた奥さんにおはようも言わず、洗面所に慌てて走っていきました。鏡に映った大二郎さんの顔は、左目(ひだりめ)の下がハチにされたように腫れ上がっていたのです。
 ここは人口10万人に満たない四国のある街。大二郎さんは、この街の建設会社に設計士として勤務し忙しい日々を過ごしていました。
 「年のせいかな。一週間もしたら治るだろう」
 大二郎さんはそう自分に言い聞かせると、歯磨(はみが)きをすると痛そうなのでうがいだけして食卓に向かいました。
 「あら、どうしたの」 大二郎さんの顔をみて浮江さんは叫びました。
 「すごく歯がいんだ。虫歯ではなさそうだし……。早く治ってくれるといいんだけど」
 はれが気になって、朝ご飯ものどが通りにくかった大二郎さんですが、いつものように会社に出勤して行きました。
 「大丈夫ですか」 
 心配そうな顔をしながら会社の同僚の徳永さんが大二郎さんに声をかけたのはその日のお昼前でした。
 「う、うん。これじゃあ、昼ご飯は食べられそうにないかな」
 そう返事をした大二郎さんの顔は苦痛(にゆがんでいました。
 「病院には行ってないのですか」
 「行くとしたら、どこにいけばいいのだろうね」
 「歯医者さんじゃないですか。僕の通っている歯医者さんにも、そんな顔をした患者さんが時々やってくることがありますからね」
 「えっ歯医者さん? でも僕は自慢じゃないけど子どものころからムシ歯は一本もなくて、今まで歯医者にかかったことなんて一度もないよ」
 「へえ、すごいですね。でも僕のっているかかりつけの歯医者さんが、ムシ歯になりにくい患者さんほど歯周病が進行してからやってくることが多いって言っていましたよ」
 「歯周病! そういえばそんな記事を新聞でみたことがあったな。じゃあ、こんなに顔がはれたのは歯周病のせいだというのかい」
 「ええ、きっとそうですよ。一度診てもらったほうがいいのじゃないですか」
 「君はムシ歯でも治療しているのかい?」
 「定期健診ですよ。子供のころムシ歯で苦労しましたからこれ以上悪くなるのはごめんですからね」
 徳永さんは笑ってそう言いながら、昼ごはんを食べるために部屋を出て行きました。
 大二郎さんは仕事の後、歯科医院に向かいました。
 「お願いします。電話で予約した羽賀です」
 そうしゃべった大二郎さんの声はすこし上ずっていました。その後問診票を書き終えて、空いている椅子に落ち着かない様子で座っていた大二郎さんは、しばらくしてから名前を呼ばれ2番の診察台に向かいました。そこまでの距離は10メートルもありませんでしたが、なぜか大二郎さんには長い道のりのようにじられたのでした。=愛媛県歯科医師会監修、毎週木曜掲載




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 歯周病を予防するには、定期的に鏡で歯ぐきの状態をチェックしましょう。
 次のような症状があったらすぐに歯科医に相談しましょう。
   □歯ぐきの色が赤い
   □歯ぐきが腫れる
   □歯ぐきから出血
   □朝、口の中が粘る
   □息が臭い
   □歯が長く見える
   □歯ぐきがむずがゆい
   □かむと痛い
   □歯ぐきからうみが出る
   □歯がぐらぐらする
    (資料提供 8020推進財団)